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暑くてヘルメットかぶれない 小学生の登下校「帽子OK」広がる

朝日新聞掲載記事

猛暑の夏はヘルメットではなく帽子でOK―。 徒歩での登下校時にヘルメット着用を義
務づけず、 帽子でもよいとする「選択制」が、 暑さで知られる埼玉県北部の小学校でじわりと広がっている。 熱中症のリスクを避けるためだが、 頭部の保護と通気性を両立した軽量ヘルメット内蔵の帽子も登場しており、 夏の通学風景が変わりつつある。
2018年に最高気温が当時の国内歴代1位となる41.1度を記録した埼玉県北部の熊谷市。 その隣に位置する深谷市は、 26年夏から帽子の選択制を導入すると決めた。

深谷市教育委員会によると、 猛暑や蒸れを理由に保護者から「ヘルメット廃止」の要望があり、 昨年10月、 全児童と保護者にアンケー ト。 半数がヘルメット維持で、 帽子への切り替えや選択制の希望もあわせて半数だった。 そこで、 6~9月の夏場に限り、 帽子との選択制にすると決めた。

ヘルメットと帽子、選ばれる割合は?

市では、 小学生の交通事故死がきっかけで、 17年からヘルメット着用を義務づけてきた。市教委の担当者は「最近はタブレット端末も持ち歩くため、 背中のランドセルも重くなった。 熱中症対策に加え、 子どもの体への負担も考慮した」と説明する。

深谷市の隣の本庄市は24年に、 夏場の「ヘルメット ・ 帽子選択制」を導入している。 こちらも保護者の意見を尊重し、 6~10月に限定して緩和した。 期間中、 大半の児童は帽子を選ぶという。
埼玉県教委によると、 登下校時にヘルメット着用を義務づける県内の小学校は、 全体の約1割の65校。 最近10年間はほぼ横ばいという。 約8割が県北部に集中するが「理由は不明」説明する。

ヘルメット着用が40年以上続く地域も

着用義務がある熊谷市内のある地域の住民によると、 ヘルメット義務化は1970年代後半に始まったようだ。 50代男性は「当時の担任教諭から『最近は全国で交通事故が多いので黄色い帽子からヘルメットに変える』と指導された」と振り返る。
静岡県や茨城県でも、 小学生がヘルメット姿で登下校している。 20年に国内歴代1位タイ
(当時)の最高気温41.1度を記録した浜松市は、 すべての小学生に着用を勧めている。 79年から新1年生にヘルメットを贈り続けており、 夏場の着用は6~7割という。

茨城県牛久市では19年、 地震への備えも兼ねて登下校用のヘルメットを導入した。 帽子との選択制とし、 割合はほぼ半分ずつという。

帽子は通気性が良いものの、 頭部の保護にはヘルメットの方が優れている。 熱中症対策と安全対策との兼ね合いはどう考えればよいのか。

「安全と健康への配慮、 再点検を」

遮熱性が高い通学用帽子の開発に取り組む横浜国立大の薩本弥生教授(被服環境学)は 「ヘルメットは日射を遮る効果はあるが、 通気性が悪いと頭部に熱がこもり、 熱中症のリスクが高まりかねない」と指摘し、 選択制の広がりに期待する。

軽量ヘルメットを内蔵した帽子を販売している埼玉県和光市のメーカーの「ピーカブー」の松成紀公子社長は「けがを最小限に抑える安全性と、 熱中症防止の両立こそ大事」と話す。 23年から全国で2300個を販売。 来年度には4千個に達する見込みで、 埼玉県長瀞町の小学生全員への導入も決まったという。

通学時の交通事故対策の研究を専門とする筑波大の市川政雄教授(公衆衛生学)は 「各学校や教育委員会は、 猛暑をきっかけにヘルメットや帽子の性能と効果、 デメリットを洗い出すべきだ」と指摘する。 「児童の安全や健康に配慮できているかも再点検すべきだ」と話している。



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